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~贈る言葉~3年2組担任 坂根悠介先生

坂根先生からのメッセージ

 

皆さん、卒業おめでとうございます。これまでの皆さんと過ごした時間を振り返ると、長いようで本当にあっという間だったと感じています。このことは、コロナの影響が少なからず関係していると思っています。皆さんが三年生になってからは、コロナの影響で高校総体が行われず、鍛錬行事では遠足や宿泊がなくなるなど、残念な思いをした人も多かったと思います。
そのような一年でしたが、津高祭では生徒一人一人が協力し、制限されている中でも最高のものを創ろうと頑張っている姿や、鍛錬行事では友達と笑顔で楽しそうに歩いていた姿がとても印象に残っています。
津和野高校では、様々な地域から生徒が集まり、学校生活を共に送ります。様々な価値観や感性を持った皆さんが共に暮らす中で、時にはぶつかり、悩んだり、悔しい思いをしたりしたことも少なくなかったのではないかと思います。その中でも、一緒に笑い合い、お互いの良さを認め合って学校生活を送っていた皆さんの姿に、頼もしさを感じると共に、人としての成長を感じました。この体験は、これからの社会生活においてきっと活きていくことと思います。
さて、これから津和野高校を巣立っていく皆さんへ、私の好きな歌を紹介します。
それは、
「なんのために生まれて なにをして生きるのか こたえられないなんて そんなのはいやだ!」
という、アンパンマンのテーマソングです。この曲を作詞されたのは、アンパンマンの生みの親である、やなせたかしさんです。自身の戦争体験から、「正義のための戦いというものはなく、本当の正義とは献身と愛であり、目の前で餓死しそうな人がいれば、一片のパンを与えること。」という強い想いから自身を犠牲にして、相手のために行動するアンパンマンが生まれました。
私自身も、言葉の意味も分からない頃からなぜかこのフレーズが心に残り、口ずさんできました。やなせさん自身も、子供の頃からずっと歌っていると、この永遠の命題を考えることが自然と身につくような気がすると言われています。この「なんのために生まれたのか」という問いは、人間だから考えることができるのではないかと思います。多くの生物は生き延び、種を残すことを第一の目的とし、プログラムされています。しかしながら、私たち人間にとって、必ずしもそれだけが生きる意味ではないのではないでしょうか。皆さんは、なんのために生きていますか?私にはいまだ、その答えは分かりません。
しかし、教員として皆さんと関わる中で、一人一人が輝くところを持っていて、そこに答えがあるのではないかと感じています。つい調子に乗り過ぎて、やり過ぎてしまうけど、場を盛り上げる力を持っている人、気を遣い過ぎてしまうけど、人にとても優しくできる人などなど。誰もが、それぞれに異なる個性をもち、苦手なところをもち、輝くところをもっています。その輝きこそが、他の誰にもないあなただけのアイデンティティであり、生きる意味につながるのではないかと思います。ここから先、是非あなたならではの生きる意味を問い続けて欲しいと思います。
最後になりますが、津和野高校を卒業する皆さん、これからは一人の社会人あるいは学生として、自分の意志が尊重され、選択できる幅が広がっていきます。しかし、その反面、責任もまた大きくなっていきます。悩むこともあると思いますが、一人一人がそれぞれの輝きを持って乗り越えていくことを心から願っています。卒業おめでとうございます。